女性がトキメキや癒しを求めて通うホストクラブですが、犯罪につながる悪質なケースも、後を絶たないというのです。
◇《恋愛感情を巧みに操り、女性に営業をかける》
ホストクラブに通っていた女性
「100何円で売っている缶チューハイが1000円とか1500円。安い店なら5万円あれば行ける。(ホストクラブを)1日に4~5軒回る日もあった」
ホストクラブに通った経験をこう語るのは、札幌に住む20代前半の女性です。
(Q.ホストから「好き」とか来るんですか?)
ホストクラブに通っていた女性
「めっちゃ来ます。来る人は全然、毎日『きょう来てよ、きょう来てよ』ってくるし…」
「“推し”から『好き』とか言われたら、なびくわけじゃないですか。それで満たされる」
恋愛に似た感情を客に抱かせ、営業するホストたち。一方で、悪質なホストクラブをめぐる事件が、明らかになりました。
◇《料金で支払いが滞った女性を、違法な性風俗店へあっせん》
麻原衣桜記者(今月7日)
「原田雄太郎容疑者の身柄が、検察庁に送られます」
逮捕されたのは、札幌“すすきの”にあるホストクラブの店長の男ら7人。
女性客を違法な性風俗店にあっせんした、職業安定法違反の疑いです。女性客は、ホストクラブに高額の“ツケ”がありました。
中村浩士弁護士
「ツケ払いとか、立替金といったものは、証拠を残さないで行われることがほとんどなんですよね」
悪質なホストクラブが犯罪の“入り口”にもなっている、その実態を探ります。
◇《ホストクラブと性風俗店をつなぐ仲介グループの存在》
警察によりますと、ホストクラブ店長の原田雄太郎容疑者は、2年前、スカウトの人物に対し、店の女性客を働かせる性風俗店を紹介するように、依頼したとされます。
頼を受けたスカウトは、仲介グループ『トリップ』のリーダー、坂槇伸之(さかまき・のぶゆき)容疑者らを通じて、女性客を違法な性風俗店に紹介。
さらに、紹介料の一部を受け取っていたということです。
警察は、彼らがSNSなどでつながった『匿名・流動型犯罪グループ』=トクリュウとみて、調べを続けています。
仲介グループ『トリップ』は、全国およそ200店の風俗店とつながり、コンサル料などとして、年間1億円以上を受け取っていたとみられています。
◇《“推しのホスト”の売り上げに貢献したい…》
女性客はなぜ、性風俗店にあっせんされることになったのか。
きっかけは『売掛(うりかけ)』と呼ばれる、客の飲食代をホストが、一時的に肩代わりする仕組み…、いわば“ツケ払い”です。
女性客は、ホストクラブの店長・原田容疑者に対し、50万円ほどの売掛金がありました。
原田容疑者は、この金を回収したいと考え、今回の犯行を起こしたとみられています
HBCの取材に応じた女性も、別のホストクラブで『売掛』をしたことがありました。
ホストクラブに通っていた女性
「(売掛金を)払いに行くじゃないですか。そしたら(ホストが)『きょうも飲んでいきなよ、掛けでいいから』って。永遠に“掛け”をさせてお店に来させるというのとかもある。私は最高20万円ぐらい」
実際に、性風俗で働き始めた知人もいたと、取材に応じた女性は話します。
ホストクラブに通っていた女性
「ガールズバーで働いていた同僚の子が、ホストにハマって、風俗で働き始めて…。(ホストの)売り上げに貢献したいという気持ちもあって」
「ガールズバーじゃ、稼げる額が限られてはいるから風俗へ…。もちろんホスト側も『風俗で働けよ』という無理強いではなく、さりげなくだと思う。オブラートに包んで、ニュアンスで言うと思う」
◇《金で“愛をコントロール”できるという錯覚に陥る女性たち》
ホスト依存症の女性や、その家族の支援を行っている臨床心理士は…。
JECセンター経営顧問 佐藤矢市 臨床心理士
「(女性側はホストに)コントロールされてしまっている。お金が全ての価値判断、幸せの判断ということで捉えている。(ホストの)愛をもコントロールできるという錯覚に陥っている」
中村浩士弁護士は、ホストが女性客に“性風俗店を紹介”する手口について、こう語ります。
中村浩士弁護士
「個人的な恋愛感情を装って、相手に恋愛感情を抱かせ、もう抜けられないように、最終的には“お付き合いしたい”というふうに思わせる」
「到底、女性が払えない額になってしまった場合に、脅しをかけたり、プレッシャーをかけたりすると、そういったことをされた女性というのは、やはり自分でそれを作ってしまったという弱みを感じてしまう」
法外な売掛金の回収や、性風俗などへのあっせんは『トクリュウ』などの資金源になりやすいといいます。
中村浩士弁護士
「違法ビジネスの背景には、トクリュウ、あるいはトクリュウのケツ持ちをしている暴力団の関与というのが疑われますので、困ったときには、いち早く警察に相談するというのも、一つの選択肢として考えなければいけないと思います」
◇《急増するホストクラブ相談件数のグラフ》
堀啓知キャスター)
実際に売掛金で、ホストクラブに通っていた当事者の話は、生々しいですね。
堀内大輝アナウンサー)
全国の警察署における、ホストクラブに関する相談件数です。
2021年は2000件ほどでしたが、この3年で2776件まで増えています。この3年ほどで、1.4倍に相談件数は増えています。
具体的な相談内容としては『高額なシャンパンを無断で購入された』というのもありましたが、なかにはホストから『売春するよう指示された』というようなケースもあります。
これは売春した稼ぎで、ホストクラブでのツケ払いの未払い分を支払えということで、そうした働きかけがあったということです。
堀啓知キャスター)
悪質なホストクラブに通っていた女性客が、風俗で働かされて、性的に搾取されるだけでなく、さらに、女性が得た金が今回のような“トクリュウ”を通じて、反社会勢力、裏社会へと流れていくという構造があるようですね。
堀内大輝アナ)
悪質なホストクラブについての相談先もあります。
万が一、ホストクラブで、性風俗店で働くように促されたり、トラブルに巻き込まれたりしそうになった場合は、警察や行政、弁護士などに相談できます。
・【北海道警察相談ダイヤル】
#9110(24時間)
・【道庁 女性相談支援センター】
011-666-9955
(月~金:午前9時~午後5時)
※祝日や年末年始除く
・【犯罪被害者弁護ライン】
011-251-7822
(月曜:午前10時30分~午後0時30分)
(水曜:午後5時~7時)
※祝日や年末年始除く
堀啓知キャスター)
なかなか相談しづらいと思っていたとしても、その先には、もっと大きなトラブルが待っていたり、犯罪に巻き込まれたりする可能性がある。
決して一人で抱え込まずに、サポートしている機関や窓口、そして、信頼できる人に、まずは相談してください。
2025年02月13日(木) 18時30分 更新
#北海道 #ニュース #HBC
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