車をバック走行させ、女性2人をはねて死傷させたとして危険運転致死傷罪などに問われている男の裁判員裁判が21日結審しました。
検察は男に懲役12年を求刑した一方、弁護側は「危険運転致死傷罪は成立しない」と改めて主張しました。
元ホストクラブ従業員 松本 岳 被告は去年6月15日の早朝、熊本市中央区細工町の県道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転しトラックに追突。
現場から逃走しようと、車の走行を制御することが困難な時速70キロ以上で約240メートルにわたって車をバックで走行させた後、歩道に突っ込み、熊本市職員の横田 千尋さんを死亡させ、横田さんの友人の女性にけがをさせた罪に問われています。
19日始まった裁判員裁判では危険運転致死傷罪が成立するかどうかが争点となっています。
21日の論告で、検察は「単にバック走行したことではなく、時速約70キロの高速度でバック走行し、車が制御困難になったことが事故の原因で、危険運転致死傷罪が成立する」とし、懲役12年を求刑。
また、被害者参加制度を利用して裁判に参加している亡くなった横田さんの父・邦祐さんの代理人弁護士は「松本被告がルールを破り、無謀な運転をしたことで横田さんを死亡させていて、遺族の悲しさや悔しさ、無念は今後もご遺族の人生に影を落とすものになるだろう」とし、懲役20年が相当という意見を述べました。
一方で、弁護側は「制御困難な状況に陥ったのは、速度ではなくバック走行が主な原因であり、危険運転致死傷罪には当たらない」と改めて主張しました。
また、証言台に立った松本被告は「愚かで身勝手な運転により、横田さんの尊い命を奪ってしまい、本当に申し訳ございませんでした」と謝罪しました。
判決は、来週火曜日27日に言い渡される予定です。